【受験】医師国家試験合格までにやったこと ~後編~【第110回】

どーも、CNです。

前編から飛んでくれた人もそうでない人も来てくださりありがとうございます。
(前編は獨協医科大学ME部ホームページのこちら)

ここでは所謂普通の合格体験記なるものを書き記したいと思います。
内容は医師国家試験(以下国試)の印象、戦略、実際どのような勉強をしたか、国試本番前や本番どのように過ごしたかということについてです。

 

まず国試の特徴から書き始めたいと思います。
国試はとにかく範囲と分量が膨大で全てを網羅することが難しいこと、
苦手科目を放置した勉強は不利になること、
3日間で500問を解く必要があり体力、精神力、集中力が本番で必要なこと
等を先生や先輩が教えてくださりました。

事実受けてみてその通りだなと実感しました。

国試の受験生は1年間で身長程の参考書や問題集をこなさないといけないという都市伝説がありますが、僕の使った参考書、問題集を積み上げてみたところ130cmあり、これに積むことができない試験の数々を併せると優に身長は超えてしまいました。
(この様子はツイッターにて投稿しました)

また最近の国試の科目は選択制ではなく満遍なく出題され、そのどれもが専門的かつ難しくなっているように感じました。
ただその中でも問題の難易度の差はあるため仮に受験生が取れて当たり前の問題が苦手科目で点が取れず逆に受験生の誰もが取れない問題が得意科目だった時も点が取れないという状況になると合格争いから一歩後退してしまいます。

さらに3日間で500問という経験は模試や卒試で経験していますが、それはそれ、これはこれ、といった感じで本試は全く別物でした。
特に初日の極度の緊張感で迎えたAブロックと疲労が蓄積している状況での3日目Iブロックの80問は人生で経験した様々な試験の中でも最も辛いものでした。

 

そんな僕が試験勉強を始めたのは去年の4月からです。
当時の心境は国試なんて受験生の9割が合格するんだから「余裕」だろうという感じでした。

自分の点数を知るのが惨めだったのでそれまで定期試験や模試を自己採点することは無かったのですが後に恐ろしい現実が待っていたのは言うまでもありません。
4人組で仲の良い友達と一緒の部屋で勉強していたのですが、その中で模試の点数の見せ合いがありました。
5年生の冬メック試験と春メック試験だったのですが偏差値は37程度でダントツの最下位でした。

今思うとこの惨めな現実を受け入れられたことが大きな意味を持っていました。
まずは自分の立ち位置を客観的に知ることから始まりその上でどのような戦略を立てて実行出来るかが勝負を分けると思いました。

 

点数の低さを分析してみると正答率が80%を超える問題すら多く間違っていたため知識量の圧倒的不足がありその中でも基礎となる部分が欠落していることが分かりました。

幸い大学では4月よりすぐ各科目のまとめの試験が1週間ずつ卒試として始まるのでそれに併せてメディックメディア社より出版されてるクエスチョンバンクの1周目問題を全部解きつつ5年生の時に仕上げていたテコムのMTM先生による授業ノートを元に知識を固めていきました。

更に知識を固めるためには記憶・整理・忘却の3つの観点から攻めました。
具体的にはノートに沿ってルーズリーフにボールペンで書きまくりました。これで記憶と整理の二つが一気にできます。
問題は書いたことも時が経つと忘れてしまうことですが、これは逆に良いことでもあるなと発想を転換しました。
問題を解く上で不要で邪魔になる知識もあり時間のロスとなるからです。
ノートはさすが大手予備校の人気講師の坂書ということもあり必要十分な情報で完成されていました。

一方、学校の授業や模試の解説、問題集の解説は納得いくものもあればそうでないものもありました。納得いくものはノートに書き足したりEvernoteに書いたりしましたが、そうでないものは不要な知識として見ないで忘れるよう心がけました。
意図的に忘れるというのは難しい話ですが要は時間が経てば勝手に忘れてくれるので無視すればいいだけの話です。
そしてその時は不要な情報だと無視していたことも後に模試等で重要だと気付く時があります。ここで積極的に覚えるようにしました。

この納得できるかどうかという感覚は大事にしました。

 

7月までに各科目の勉強は一通りまとめ終わり学校の授業も全て終わったということでちょっとした中だるみがあったのですが、どうせダレるんだったら国試までにたくさん遊んでおこうということで毎年8月お盆休み期間中に開催されるコミケのための部誌作成に携わりました。

またこの期間中はメックのHZM先生による臓器別講座を通して受講しました。
分量は多かったですがテコムの授業とはまた違った切り口で教えて下さりその一つ一つが新鮮で楽しく一日6コマペースでこなすことができたおかげでメジャー科目を8月中に全部見終わることができました。
部誌の記事作成も動画の受講もパソコンやタブレットの画面を通してだったので1日中座って動かないという日々が続きましたが内容は充実していました。

こうして8月まであっという間に過ぎ去っていくわけですが少しずつ成績が上向きになっていくことが実感できました。
夏メックでは偏差値が44程度でしたが内容的にはもっと取れても良かったかなと思いました。というのも不正解の問題でも5択から2択まで絞ることができていたからです。
また問題冊子に書き込む分量も増えていました。これは単語や文章から汲み取る情報量が上がったと同時に思考量も増えてきたということを意味していました。

 

9月に入ってからは10月に行われる国試形式の卒業試験に向けて勉強しました。
またその間に第二回テコム模試がありましたがその両方で手ごたえを感じることができました。
卒業試験の方は不合格となり、11月に行われる卒業試験の再試へ回るのですが敗因ははっきりしていて一般問題の対策不足でした。
一方第二回テコム模試では偏差値を50代に乗せることができ着実に成績が上向いていることを実感できました。

一般問題を苦手とする方は多いと聞きますし僕もそうだったのですが、メックのKSR先生の一般問題から臨床問題を作るというテクニックとHZM先生の臨床問題を解くことが一般問題対策になるという教えが効きました。
また選択肢を考えすぎて1周回ってしまい間違うという考え方のクセに気付き修正しました。

一般問題が苦手だという方は
①知識量が不足してそうで不安だという人と
②考えすぎて間違ってしまうという人ともう一つ
③公衆衛生が取れていないという人
の3通りに分かれると思います。
でも①ならば臨床問題を解けばいいということになるし②ならば思考を一方向に単純化すればいいということになります。そして③の公衆衛生分野と解剖問題等の所謂総論知識を問う問題は数をこなしていくうちに自然と解けるようになります。
①~③のうち最も即効性があったのは③の公衆衛生分野で、突き詰めるとこの分野は数値の暗記とカテゴリ分けの作業になります。
全体の数は何人で何パーセントと重要な数を覚えておくこと、そして長い漢字の羅列で眠くなる根拠法令は表を書いて比較して覚えることで対策しました。
公衆衛生が取れるか取れないかで20点程結果が変わりましたので時間が無くて焦っているという方は公衆衛生を得意にすることが一番効果的なんじゃないかなぁと思います。

9月、10月というと研修医先の病院のマッチングとも重なり気持ち的にフワフワする方が多かったように思いますが僕は隣の大学病院で研修できればいいやと決めていたため、迷い無く勉強に専念できたのも良かったです。

 

11月、12月は正直あまり記憶に残っていないのですが、KSR先生によるまとめ講座を受講しつつ卒試の勉強をしていました。
また必修対策が不足していて点数が下がってきていたのでクエスチョンバンクの必修1周目問題をスマホで空いた時間に解きました。

 

1月になるといよいよ国試前のラストスパートということで3年分の国試過去問を一気に解き直しました。
また学校では一週間の強化合宿があり劇的な効果がありました。
内容は各科目の正答率が低い問題を一般臨床問わず100問程集め100分で解くというものです。
一問一分で解く訓練は国試本番で考えすぎて時間が足りなくなってしまうという危険な状況を打開してくれました。
何をやっていいか分からないという方は意図的に制限時間を厳しくして早く解いてみるのも良いと思います。
第四回テコム模試では偏差値が55に届き成績的にも上がり続けていることを実感しました。

 

2月では直前にチェックする内容をEvernoteにまとめました。例を挙げると一問一答や語呂、諸々の重要な数値等です。
自分で出来ることは全て準備してきたという自信と成績的に上昇し続けているという客観的データ、これでダメならそれはそれで1年間遊べるしいいかなという良い意味(?)での諦めが上手い具合に作用し初日のAブロックはさすがに緊張しましたが2日目3日目は良い集中力で臨むことが出来ました。

 

10ヵ月間の勉強を振り返ってまとめてみますと、その戦略は以下に示す通りとてもシンプルです。
・卒試や模試を解いて自己採点をすることで弱点と立ち位置を知りその対策をする。
・一日単位ですることと数か月単位ですることの計画を立てる。
・問題を解く上で必要な知識や情報は、記憶・整理・忘却の3つ観点から攻める。

 

最後に国試勉強へのモチベーションが上がらないという方と本番眠れなくて不安だという方に向けての話をしたいと思います。

国試は当然個人の点数で勝敗が決まる個人戦ですが、団体戦でもあります。
例えば大学にとっては合格率は実績とブランドになり今後5年間以上の大学の評価となるかもしれません。
また合格率が1%でも落ちるとそれに隣接する病院まで評判が落ちると言われます。
自分一人の結果が大学病院の売り上げに関係するって何か恐ろしくありませんか?
部活動に対する評価だってそうです。非常に狭い業界なので合否の噂は瞬く間に広まる訳ですが、あまりに不合格者数が多い部活には入部したくないと新入生は思うかもしれません。

僕はME部と卓球部に在籍してましたがその二つとも本当に好きな部活で自分の怠慢で両部活の品位を落とすことは絶対にしたくないし合格することで最高の恩返しになると思い頑張りました。
そして両親、先生、先輩、後輩の悲しい顔も見たくなかったし、なんと言っても信頼できる友人達と一緒に仕事をしたいという思いがありました。
国家試験勉強は個人戦だけではなく団体戦だという気持ちになるとモチベは自然と上がっていきました。

ただそうは言っても波はあってどうしようもなくやる気が出ない日もありました。
そんな日は取りあえず自分の部屋には閉じこまらず、友人が勉強している部屋に行くことを目標にしました。
友人が頑張っている姿を見るとモチベは自然と上がりましたがそれでもどうしようもない日は夜遅くに満喫に行ったり銭湯に行ったりして気分転換をしました。
皆が勉強している時に遊ぶのは気が引けましたが寝静まった頃に遊ぶのは勝手だろうという理由です。

 

本番前緊張してしまい眠れなくてどうしようという気持ちは僕にもありましたが悩むことは殆どありませんでした。
緊張してしまうというのは大体何らかの具体的で大きな原因があってそれにつられた漠然とした不安から来るはずです。
僕にとっては問題が解けなかったらどうしようとかもし不合格になったらどうしようということが不安でしたが先にも書いた通り自分にできる全てのことをこなすことができたという自負がありましたし、不合格になった時の進路や戦略もある程度シミュレーションしていました。

出た結論は極論を言うと一年合格が先になるかどうかというだけの話でした。
不安なこと嫌なことはどうしても目を背けたくなりますが正面から考えることで緊張を取り除くことができます。
問題は本番直前ではなく前もって余裕もってそうした漠然とした不安や嫌悪感を具体化して気持ち的に解決することだと思います。

 

最後の最後に本番で頭が真っ白になってしまい怖いという方に向けてオススメの趣味を紹介したいと思います。

それは瞑想です。瞑想は雑念を取り払い頭を自分から進んで真っ白にする方法と雑念を受け流し自己を客観的に見つめる方法の二つがありますがどちらも効果がありました。
やり方はというと前者は胡坐を組んで目つぶってひたすらに数を数えていきます。後者は勝手に沸いてくる雑念を受け止めずそのまま流して自分で実況していきます。
例えば痒いと思ったら「痒いと感じている自分がいる」という具合です。

どちらも姿勢と呼吸が重要で背を力がかからない程度に自然に伸ばし腹式で鼻から空気を吸い口から吐くと同時に脱力させていくというものです。
瞑想することで自分が自由自在に操っている筈の思考が実は周りに流され、勝手に動き回り自由が利かないことに気付くことができました。
頭が意図せず真っ白になってしまったという状態はまさに思考が自分の制御を外れ雰囲気に飲まれて停止してしまった状態でありそんな自分に対してパニックになった状態でもあります。
でも思考は自由が利かないということを前もって知っていればパニックになることもなければ頭が真っ白になることもありません。
逆に問題を解いていくリズムから自然と思考が問題を解くために最適化されていき無駄な雑念が無くなっていくことを実感できるでしょう。

 

以上になります。

よくもまぁここまで長々と偉そうに上から目線で書いたなと思いますが、多分合格者が見れば同じことを考え同じことをしてきたなと文章自体には共感してもらえると思います。

この記事の原稿を書き始めたのは国試終わって2月末からでしたが合格発表までにこんな記事を書いてフラグにはならないかとビクビクしていたのは内緒です。

国家試験を通して色々と人間的に成長を実感でき、その機会に恵まれたことに感謝したいと思います。
この記事を読んで合格の一助になれたら幸いです。
長文駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございました。

2 件のコメント

  • 私は国試浪人生です。112回を受けます。
    皆さんのお母さん位の年齢です。
    テコム4で必修が悪くてかなり焦ってこちらのblogにだどりつきました。

    思考はコントロールが効かない、素晴らしいと思いました。
    そして、不安で寝れない私もそうやって俯瞰で見ると楽になりました。ありがとうございます。

    • ブログ記事参考にして頂き本当にありがとうございます。非常に苦労されたのだろうと文面より伝わってきました。
      努力した時間は自分のかけがえのない財産になりますし、結果は裏切らないと思います。
      医師として一緒に働けることを心待ちにしております。

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    地方の大学病院に勤務する2年目のヤバレジ。曲をつながたり、お絵描きしたり、デザインしたり、ヘッドホンのレビューを書いたり、ダーツしたりすることが趣味です。あと勿論ブログも。カオスでまとまりのない事を書きますが生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。