なぜ末梢静脈路確保が失敗するのか考察してみた

どーも、CNです。

ついに始まっちゃいました、研修医生活。

不器用で要領が悪くて知識もない僕が本当に医師という仕事についていいのか悩んだし恐怖でもあったけど毎日が新たな発見の連続で充実した日々を送っている実感があります。
それでもやっぱり最初の一週間ということもあって医薬品等の知識はおろか、処置やオーダー出し等の簡単な業務も分からず何も出来ないもどかしさや悔しさがあり辛い部分もあります。

 

そんな僕ですが第一の関門として立ちはだかったのが末梢静脈路確保、通称ルート取りの処置です。点滴チューブを血管に入れて留めるやつです。
言うのは簡単だけどいざやってみるとこれがなかなか難しいです。

しかしルート取りは手技としては初歩中の初歩。
100人医師を集めて100人全員が出来る手技といっても過言ではないでしょう。

ヤブ医者にならないためにも絶対にルート取りは上手く出来るようになりたいと思いここ数日間ずっとルート取りのことばっか考えていました。

考えて失敗を重ねてちょっと気づいたことはその失敗にはパターンがあるということです。
今回はホームセンターで買ってきたスポンジゴムチューブを血管に見立ててそのパターンを写真付きで紹介してなぜそうなるのか、その対処はどのようにすればいいかを考察したいと思います。

また今回は基本編として基本テクニックを紹介していますが、応用テクニックを知りたい方は「末梢静脈路確保が確実に入るようになりたい」を参照ください。


それでは本題に入る前に病棟で良く使われる留置針のテルモ22gサーフローの構造と手技の手順そして留置先の血管をおさらいしてみましょう。

留置針について

詳しくはテルモさんのページをググってください。
たまたま手元にあったのが22gサーフローで深い意味はないです。
外筒は青いキャップみたいな部分(カテーテルハブ)と一体構造になってて指で押し込めるようになっています。内筒の針は2mm程外筒から飛び出しています。22gの太さは0.7mmのようです。
サーフロー

手順

  1. まず器具を準備する。留置針、駆血帯、アル綿、固定用フィルム、点滴セット、固定用テープ、針捨てボックスは最低でも必要。あと防護用の手袋
  2. 駆血帯で腕を巻く。服の上から巻くと痛くなく締められて良いみたい
  3. 指で血管を探る。指の腹よりも爪先に近い部分の方が感覚受容器が発達していてやりやすい。良い血管は分岐点から逆Y字に集まったところ
  4. アル綿で刺入点を拭く
  5. 刺入点の末梢数センチを指で押さえて血管にテンションをかけながら血管の走行と平行に留置針をさす
  6. 内筒に血液が来ることを確認したら気持ちちょっと寝かせて更に2~3mmほど進める
  7. 外筒を示指で軽く押しこんで外筒まで逆血がくることを確認できたら母指と中指でグリップ部をつまんで内筒を固定しつつ示指で外筒を更に根本まで押し込む
  8. 内筒を抜く
  9. 急いで駆血帯を外す
  10. 外筒先を指で押さえつつ点滴セットのチューブのキャップを接続部分に指を触れないよう外し取り付ける
  11. クレンメを回して点滴がしっかり落ちることを確認する
  12. 取り付けたら固定用フィルムを管を包むよう貼り付ける
  13. 固定用テープをチューブがZ字型になるよう、又はループになるよう刺入点が見えるように張って固定する

留置先の血管について

代表的な血管は橈側皮静脈や肘正中皮静脈でしょうか。だいたい内径3~4mmのようです。

失敗のパターンとその考察

それでは失敗パターンを考察してみたいと思います。

①刺入点と血管の走行がずれている

理由は大きく分けて二つあると考えました。
1つは血管そのものの位置を把握していないこと、もう一つは針を狙った場所に刺せていないことです。
前者は駆血帯の締め方が緩くないか、焦って自信のない血管を選んでいないか、そもそも静脈ではない構造物を静脈と勘違いしてないかをチェックする必要がありそうです。
特に焦って自信のない血管を選ぶとまず間違いなく失敗してしまいました。血管がどうしても見えない時は上級医を呼ぶのも手だと思います。
後者は針を刺す姿勢に問題がありそうです。体と垂直に針を構えたり、血管の走行と垂直になる場所に移動したりするとよさそうです。

②血管を針で突き破ってしまった

IMG_2109

これも理由は大きく分けて二つあると考えました。
一つは刺入点と皮膚の角度が深すぎること、もう一つはそもそも内筒と外筒の間に隙間が空いてない状態で深く刺し過ぎることです。
前者は刺入点の角度を見直す必要がありそうです。
後者は僕も驚いたのですが内筒と外筒は最初の段階ではぴっちりついていてここから外筒を少し押し込んで内筒と外筒の位置をズラさないと逆血が来にくいようになってます。
自動的に針だけ押し込んでやれば外筒にも逆血が来ると思い込んでましたがとんだ勘違いでした。

③血管壁を裂いてしまった

IMG_2113

これは刺入点の角度が浅すぎることが原因だと考えました。特に手順6の「気持ちちょっと寝かせて」の部分を注意して見直す必要がありそうです。
浅すぎる角度は皮膚を貫く時も皮膚を引き連れて裂いてしまうのでかなり痛いです。

④外筒が浅いポジションに留まっている

IMG_2110

内筒に逆血が来たことでぬか喜びをしてしまう、或いはその後どのくらい針を進めていいか分からず不安で針を進められなかった時に起こると考えました。
内筒と外筒の差の針先は2mmあるため内筒の逆血を確認しても2mm以上進めないと外筒を血管に留置できないことになります。ここで針先を戻してしまうと③の失敗になってかなり痛いです。

⑤外筒が血管壁にぶつかっている

IMG_2111

コップの底にストローがついた状態で水を吸ってもうまく吸えないと表現すると分かりやすいでしょうか。外筒が上手く血管に留置できている筈なのにいくら押し込んでも先に行かずガリガリとした抵抗を感じたりします。
対処法としては逆に外筒を少しずつ引いていきます。外筒に血液が流れていくのを確認して外筒を再度押し込んでいきます。

刺入点角度のイメージについて

失敗パターンからも明らかなようにルート取りは刺入点のXY軸的な正確性に加えてZ軸的正確さが重要でした。
ところが刺入点角度をイメージしてもそれを正確に再現するのは難しいです。
最適な刺入点の角度は一般的に30~35°と言われてますが自分のイメージと実際の角度がかけ離れていてはそんな知識も意味がないです。

試しに30°を狙って針を水平面に刺してみました。結果が下です。
IMG_2121

明らかに深いです。この写真で測ってみたところ45°でした。
イメージと実際の行いでこんな違いがあるのかとびっくりしました。
刺入点角度を携帯等で写真を撮ってみると新たな発見があるかもしれません。

 

以上長文になりましたが考察を終わりにしたいと思います。

まだ針を刺す手が震えてしまうほど未熟な自分ですが、このみじめな感覚を忘れず上達し続けたいです。

記事を見てくれた方、また将来の自分が見返した時に参考になればいいなと思い結びの言葉とします。

 

長文、駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

*2017/1/3追記
ご訪問いただきありがとうございます。
半年後の僕からみるとこのサーフローの角度はまだ深いような気がしますね。
表層を走る静脈ラインを取る時の角度は10°~20°くらいのような気がします。
テクニックを紹介した続編も書きましたので是非ともそちらも参照ください。

末梢静脈路確保が確実に入るようになりたい

*2017/7/14追記
パーマリンクを変更してしまうという失態を犯してしまい、ご迷惑おかけして申し訳ありません。この機にページの大幅な更新を致しました。
これからもよろしくお願い致します。

4 件のコメント

  • サーフロー練習中の新人ナースです。
    読んでて泣きそうになりました。

    病棟で同期や先輩の腕を借りて練習してますが、全然入らなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

    記事を読んで、失敗した原因をしっかりわかっていかないと前に進めないなと思いました。

    ありがとうございました。

    • このブログ初めてのコメントでこちらこそ泣きそうになりました。ありがとうございます。
      ルート確保は失敗の数だけ上手くなるような印象ですね。
      きっと来年には自信を持ってルート確保が出来るようになっていますし、後輩に自分の腕を貸して練習台になっていることでしょう。
      今感じている申し訳ない気持ちや失敗した原因を考える習慣を忘れず頑張って下さい!

  • CNさん。サーフロ留置で辛い状況だったこと、すごく共感しました。私もそういう時期がありました。
    それでもCNさんは、どうしたらうまくなれるか、前だけをを向いて、努力され、本当に立派です。  CNさんのご経験は後輩に希望を与えられると思います。  CNさんは謙虚な素晴らしいお医者さんになられると思います。 

    • ブログコメント本当にありがとうございます!
      僕は滅多に人から褒められることがありませんので(笑)、まさかブログでこうして励まされるとは思いませんでした。とても嬉しいです。
      この記事は僕が医師になって初めて書いたもので、今見返しても感慨深いです。初心を忘れず努力を続けていきたいです。

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    CN

    地方の大学病院に勤務する2年目のヤバレジ。曲をつながたり、お絵描きしたり、デザインしたり、ヘッドホンのレビューを書いたり、ダーツしたりすることが趣味です。あと勿論ブログも。カオスでまとまりのない事を書きますが生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。