睡眠薬を扱えるようになりたい

どーも、CNです。

最近寒くなり、天気も曇りがちですがいかがお過ごしでしょうか。
環境が変化すると僕はいつも気分が塞いでしまったり不眠に悩まされたりします。

それは患者さんも同じみたいで当直や救急外来では「眠れない」という主訴でかかってくる電話が多いです。

不眠に対して当直医がすることと言えば睡眠薬を処方するくらいしかありません。

 

そこで今回は睡眠薬を扱えるよう勉強したことを紹介したいと思います。

不眠症の原因について

とはいえまずは不眠の原因を問診して調べてみます。

不眠の原因は以下の5P
  • Physical:身体的要因→基礎疾患
  • Physiological:生理学的要因→時差ボケ、騒音、勤務形態
  • Psychological:心理学的要因→ストレス、不安
  • Psychiatric:精神医学的要因→うつ、統合失調症、薬物依存
  • Pharmacological:薬理学的要因→カフェイン、ステロイド、甲状腺薬、アルコールなど
で分類されますが、見て分かる通りどんな原因でも不眠になりうるし、高度なストレス社会の日本では5人に1人不眠で悩んでいてもおかしくないなと思います。

入院中の患者さんにとっては基礎疾患があるのが当たり前で、病院という日常とは違う環境で、病気に対する不安もあり、薬も飲んでいて、もはや不眠で悩まないのがおかしいという状況です。

睡眠の質を聞く

ということで今度はどのような不眠なのかを聞きます。

睡眠の質は以下3つの質問で十分だと思います。

ⅰいつも何時に寝て、何時に起きるか
ⅱ途中何時頃、何回起きるか
ⅲ熟睡できているか

以上の質問でその人がどのような不眠で悩んでいるかが分かります。

不眠のパターンについて

質問をしたら今度は不眠をパターンで分類します。

なぜパターン分けをするかというとそれによって治療戦略が変わってくるからです。
不眠のパターンは以下の4つにまとめられます。

①入眠障害:ベッドに入ってなかなか寝られない。所謂寝つきが悪いというもの
②中途覚醒:朝起きるまでに何度も目が覚めてしまうというもの。
③早朝覚醒:朝早すぎて目が覚めてしまい再度眠ることができないというもの。
④熟眠障害:睡眠時間は取れているが眠りが浅いというもの。

睡眠薬の分類1:作用時間

不眠のパターン分けができたら次に睡眠薬の選択に移ります。

睡眠薬はそれぞれ半減期や血中の最高濃度到達時間が違うため先ほどの不眠のパターンに合うように選びます。

睡眠薬はその時間によって

Ⅰ:超短時間作用型
Ⅱ:短時間作用型
Ⅲ:中時間作用型
Ⅳ:長時間作用型

の4つに分けられますが基本的に早く効くものは効果が切れるのも早く、逆に遅く効くものは効果が長く続きます。その性質を素直にとらえるならば、

①入眠障害→超短時間作用型or短時間作用型
②中途覚醒、③早朝覚醒、④熟眠障害→短時間作用型or中時間作用型or長時間作用型

と処方すれば良さそうです。
(実際は熟眠障害に対しては抗うつ薬や抗不安薬と併用したりと単純ではないけれど…)

睡眠薬の分類2:成分

睡眠薬は作用時間で分類される他に成分で分類することもできます。

睡眠薬の歴史としてまずバルビツール酸系が登場しましたが作用が強すぎるということでベンゾジアゼピン系が開発されました。
現在はさらに副作用の少ない非ベンゾジアゼピン系と今までとは作用機序が全く異なる「その他」の薬が登場しています。

睡眠薬を強さ順に並べると
バルビツール酸系>ベンゾジアゼピン系>非ベンゾジアゼピン系その他

となりますがバルビツール酸系は副作用が強く殆ど使われていません。

現在ベンゾジアゼピン系が最も多く処方されていますが下記の副作用の観点から非ベンゾジアゼピン系やその他の薬が処方されるようになってきました。

睡眠薬の副作用

睡眠薬を紹介する前にどんな睡眠薬にも共通する副作用についていくつか触れておきます。

 依存性

睡眠薬は作用時間が短いほど、つまり超短時間作用型に近づくにつれて依存になりやすい傾向があります。またベンゾジアゼピン系はその中でも特に依存になりやすいとされます。

このような背景からベンゾジアゼピン系超短時間作用型のハルシオンは同程度の作用を持つ非ベンゾジアゼピン系の超短時間作用型であるマイスリーに置き換えられつつあります。

反跳性不眠

睡眠薬を継続して服用している方が急に中止すると生じる現象で超短時間作用型や短時間作用型に起こりやすいとされます。またベンゾジアゼピン系は特に注意が必要となります。

 持ち越し

次の日の朝まで睡眠薬の効果が持続してしまう現象で、作用時間が長くなるほど、また高齢者といった代謝能力が低い方ほど起こりやすくなります。

当然中途覚醒時や早朝覚醒時に二度目の睡眠薬投与でも起きます。どんな作用時間が短い睡眠薬でも代謝されるまで最低3~4時間はかかるとされるので深夜2時を回ってしまった場合の中途覚醒には睡眠薬は基本使えないです。

代表的睡眠薬

睡眠薬はかなり多くの種類があるため病棟で良く使われる代表的な薬を紹介したいと思います。

マイスリー

・超短時間作用型
・最高濃度到達時間:0.7~0.9時間
・半減期:1.7~2.3時間
・非ベンゾジアゼピン系

睡眠薬といったらマイスリーというくらい非常に有名な睡眠薬です。作用開始までの時間が短く非ベンゾジアゼピン系で副作用も少ないので扱いやすいですが、重要な副作用として肝障害があります。

マイスリーをずっと飲んでいる方がなぜか肝機能障害をきたしていたら注意する必要があります。

ルネスタ

・超短時間作用型
・最高濃度到達時間:0.8~1.5時間
・半減期:4.8~5.2時間
・非ベンゾジアゼピン系

超短時間作用型睡眠薬のアモバンのS型鏡像異性体です。
アモバンより受容体結合力が強く結合速度が速いとされます。

マイスリーと比較してちょっと効く時間が遅いですが長く効きます。
また肝障害がなく、依存性も軽度なのでマイスリーが使えない方にも使いやすい薬です。

欠点は苦みが長時間続くことです。ゴーヤみたいな苦みだそうです。

レンドルミン

・短時間作用型
・最高濃度到達時間:1.0~1.5時間
・半減期:7時間
・ベンゾジアゼピン系

短時間作用型に含まれ、超短時間型と比較して効果が出るまで時間がかかるものの作用も長くなっています。そのため入眠障害と中途覚醒や早朝覚醒が組み合わさった不眠に良い適応となりそうです。

ただしマイスリーで改善しなかった不眠に対して二度目の投与は作用発現時間の違いからあまり意味がないと思います。
良く見かける不眠時の指示で ①マイスリー ②レンドルミン という組み合わせは謎が残る指示になります。

サイレース

・中時間作用型
・最高濃度到達時間:1.3時間
・半減期:7時間
・ベンゾジアゼピン系

中時間作用型に含まれます。効果は上3つと比較してかなり強力で呼吸抑制といった副作用に注意する必要があります。

静脈注射もできます。暴れている患者を寝かせたい時、かつルートが確保されている時ならば生食18mlに1A(2ml)を混ぜてトータル20mlにして10秒に1~2mlのスピードで眠るか確認しつつゆっくりと入れます。素早くフラッシュすると呼吸が止まって大変なことになりますので慎重に。

余談ですが錠剤、液剤どちらも淡青色に色付けされています。水に混ぜられた時に分かるようにという理由からです。

ベルソムラ

・オレキシン受容体拮抗薬

睡眠を刺激するベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系とは違い、覚醒を抑制させる新しいタイプの睡眠薬になります。
中途覚醒すると目が冴えてしまって二度寝ができない時がありますが、そういった神経の興奮を抑える働きがあります。

最高濃度到達時間まで1時間以上あるとされ入眠障害には使いにくいですが、中途覚醒には高い効果があります。

ロゼレム

・メラトニン受容体刺激薬

睡眠リズムが狂ってしまい寝たい時間に眠れない方に効果を発揮します。
他の睡眠薬と違って飲んだらすぐ効果が出るものではなく翌日以降に効果を実感できる薬になります。

 

*2017/1/4追記

抑肝散

漢方というと東洋医学のため西洋医学と違ってエビデンスが不明であり、成分が分からないとして毛嫌いする先生もいらっしゃいますが、病棟ではかなり用いられているので紹介します。

抑肝散は健康な方でも緊張によって手が震えてしまい困っている方や不安から会社や学校に行きたくないという方に良く処方されます。

睡眠薬として処方する場合は感情が原因で不眠になっているという方に出します。
特にイライラして興奮しているという方に良く効きます。

ただしこれ自体に睡眠作用はありません。感情を穏やかにすることで睡眠を促します。

 

 

こんな感じでまとめてみたのですが、どうでしょうか。

参考になりましたら幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

CN

地方の大学病院に勤務する2年目のヤバレジ。曲をつながたり、お絵描きしたり、デザインしたり、ヘッドホンのレビューを書いたり、ダーツしたりすることが趣味です。あと勿論ブログも。カオスでまとまりのない事を書きますが生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。