冠動脈造影検査が分かるようになりたい

どーもお久しぶりです。
土日当直が重なり約一か月ぶりの更新となってしまいました。
申し訳ないです。これから更新頻度を上げていきたいと思います。

 

今回はちょっとニッチな話題ですが冠動脈造影検査について勉強したことを書こうかなと思います。

冠動脈略語について

冠動脈造影検査ってなかなかとっつきにくいところがありますよね。

枝がいっぱいあってどこを写しているのか分からないような複雑さがある気がします。ただ見方を変えると結構単純だということにも気づきました。その見方を紹介したいと思います。

まずは冠動脈特有の略語がありますのでそこから押さえたいと思います。

RCA:Right Coronary Artery:右冠動脈
RV:Right Ventricular branch:右室枝
AM:Acute Marginal branch:鋭角枝
AV:AtrioVentricular node branch:房室結節枝
PD:Posterior Descending artery:右後下行枝
LMT:Left Main Trunk:左冠動脈主幹部
LAD:Left Anterior Descending artery:左前下行枝
LCx:Left Circumflex artery:左回旋枝
D:Diagonal branch:対角枝
OM:Obtuse Marginal branch:鈍角枝
PL:PosteroLateral branch:右後側壁枝
RAO:Right Anterior Oblique:右前斜位
LAO:Left Anterior Oblique:左前斜位

冠動脈分類について

続いて冠動脈分類についてざっと押さえます。
冠動脈分類とは冠動脈の場所を番号で命名しているものです。
AHA(American Heart Association:アメリカ心臓病協会)が作ったものでAHA分類とも言われます。

少々ややこしいですがこれを覚えれば医療関係者の会話を理解できますし、どこを指しているのかすぐ分かります。

何よりちゃんとしたプレゼンができます。
ここが詰まってます…じゃなくて何番が詰まってますって言えた方が医学的に正しいですしちゃんと勉強していることをアピールできます。

しかしなかなか覚えにくいのも事実。。。
そこで僕は針金とパテをホームセンターで買ってきて自分で作りながら覚えることにしました。
本幹と枝がどのように付いているかを組み立てることで自分で番号を振ったような気分になります。

ちょっとクオリティは低いけど生暖かい目で見てください。

右冠動脈の番号のつけ方

RCA1

起始部~右室枝(RV)までを#1。
そこから先~鋭角枝(AM)までを#2。
又はRVが見えにくい場合はAMまでを二等分して近位を#1、遠位を#2とします。
そこから先~後下行枝の起始部までを#3。
末梢は#4。
末梢において房室結節枝があるものは#4AV、もう一方の右後下行枝を#4PDとします。
全体的に見ると逆コの字になってます。

左冠動脈の番号の付け方

LCA1

LCA2

左冠動脈は枝が右に比べて圧倒的に多く複雑です。
横だけでは重なって見えにくい枝が出てくるので前からも併せて見てみます。

ちょうどつまんでいる部分が左主幹部で#5LMTです。
LMTは前下行枝(LAD)と回旋枝(LCx)に分岐します。
LADの起始部~第1中隔枝までを#6
そこから先~第2対角枝(D2)までを#7
そこから先~末梢までを#8
D2がない場合は、第1中隔枝の起始部~心尖部までを2等分し近位を#7、遠位を#8とします。
第1対角枝(D1)を#9、D2を#10
LCxは鈍角枝(OM)までを#11、OMを#12
OM起始部~末梢までを#13
側壁枝(PL)を#14、
後下行枝(PD)を#15とします。

冠動脈の造影と方向

冠動脈造影検査の特徴は冠動脈を色々な方向から見て評価するところにあると思います。
冠動脈は人それぞれ異なった形をしているのにさらに見方によって変わってくるので、そのことが輪をかけて難しくしている原因だと思います。
しかし造影方向にはパターンがあることと、意図がありますのでその二つを知っておくと理解しやすくなります。

方向は
体正中矢状断面から
①正面(Straight)
②LAO(Left anterior oblique):左斜めから
③RAO(Right anterior oblique):右斜めから

心臓水平断面から
Ⅰ正面
ⅡCranial(以下Cra):斜め上から
ⅢCaudal(以下Cau):斜め下から
の組み合わせで決まっています。

ここからはちゃんとした模型を使って説明したいと思います。

右冠動脈の見方

右冠動脈はLAO、RAO、LAO 30°-Cra 30°の3つのビューで見ていきます。

LAO 60°

IMG_2253

右冠動脈を見るときは、まずLAOで全体像をみます。

RAO 30°

IMG_2254

次にRAO 30°にて中間部分を見ます。
つまり#2や#3、RVを見ています。
また右冠動脈から左冠動脈へ流れる側副血行路も見やすいです。

LAO 30°-Cra 30°

IMG_2255

このビューは末梢を中心に見ます。
つまり#4PD、#4AVを見ています。

左冠動脈の見方

左冠動脈はLMTからLADとLCxへ分枝するため実質右冠動脈の2倍複雑です。さらにLADとLCxの位置関係がRAOかLAOで変わってくるので立体的に見る必要があります。模型さまさまですね。

RAO 30°

IMG_2256

まず左冠動脈を見るビューがRAOです。国試でもおなじみの絵柄です。

RAO 20°-Cau 20°

IMG_2257

RAOと同じく左冠動脈全体を見るビューですがRAO-CauはRAOと比べてよりLCx中枢側が見やすくなってます。
つまり#11、#13、#6がより見やすいです。

 Cra 30°

IMG_2258

CraではLADの全体、特に中枢側をが良く見えます。
つまり#6、#7を見ています。

LAO 60°

IMG_2265

LAOではRAOと同じく左冠動脈全体を見るビューですが、特に末梢側が見やすいです。
つまり#7~#10、#11~#15を見ます。

LAO 45°- Cra 30°

IMG_2259

LADからの対角枝であるD1、D2をみるためのビューです。
つまり#9、#10を見るためにあります。

LAO 45°- Cau 30°(Spider)

IMG_2261

あたかも蜘蛛が足を広げたように見えることから別名スパイダービューと呼ばれます。
このビューではLMTとLAD、LCxの分枝の様子を見ます。
つまり#5、#6、#11を見ます。
冠動脈造影の総まとめのビューともいえます。

狭窄度とTIMI分類

最後に狭窄度とTIMI分類について取り上げてみましょう。

冠動脈の狭窄度もAHAによって分類されていますが
  1. 0%:狭窄なし
  2. 25%:ちょっと狭窄があるかなという程度
  3. 50%:明らかに狭窄があるけど有意狭窄とはとらえられないもの(LMTは例外)
  4. 75%:明らかに狭窄があり有意狭窄ととらえられるもの
  5. 90%:ほぼ閉塞している
  6. 99% delay:閉塞しかけていて造影剤の流れに遅延が生じている
  7. 100% total:完全閉塞していてその先が造影されない。
の7つしかありません。狭窄度は目分量で決めてしまいます。ただし各分類に意味を持ってます。経皮的冠動脈形成術(PCI)の治療適応は75%以上の狭窄かつ症状がある時となっています。ただしLMTの狭窄においては50%以上で有意狭窄ととらえます。

また冠攣縮性狭心症の場合では異なり薬物誘発試験にて99%以上の狭窄でかつ心筋虚血の徴候があるものを有意狭窄ととらえます。

TIMI分類はThrombosis In Myocardial Infarctionの略で直訳すると心筋梗塞における血栓症の分類となります。TIMI分類はPCI後の治療成果で良く用いられます。

Grade0:完全閉塞で順行性血流を認めない
Grade1:明らかな造影遅延があり、末梢まで造影されない
Grade2:造影遅延を認めるが、末梢まで造影される
Grade3:末梢まで正常に造影される
Collateral
Grade0:なし
Grade1:かろうじてある程度
Grade2:部分的に本幹が造影される
Grade3:本幹が十分に造影される

となっていますが用法として「PCI施行し~はTIMI3が得られたため終了とした。」となるわけです。

 

以上になります。今回は冠動脈造影というかなり専門的な題で書きましたがかなりの長文となってしまいました。

それだけ奥が深い冠動脈造影。
言葉足らずなところもあるし、まだまだ勉強不足な面があるかもしれませんが参考になりましたら幸いです。

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


ABOUTこの記事をかいた人

CN

地方の大学病院に勤務する2年目のヤバレジ。曲をつながたり、お絵描きしたり、デザインしたり、ヘッドホンのレビューを書いたり、ダーツしたりすることが趣味です。あと勿論ブログも。カオスでまとまりのない事を書きますが生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。